本研究では「日本の高山植物は、種のみならず蓄積される化学物質も多様化しているのか?」という点に着目して、フラボノイドをはじめとするフェノール化合物を対象に、その多様性を調査した。多種多様な分類群において、葉のフェノール化合物の蓄積パターンを明らかにした。その結果、植物種によりフェノール化合物の組成には一定の多様性がある一方で、主要成分には共通成分が含まれる場合があり類似性もみられる事が明らかとなった。これらの成分は抗酸化能力が高く紫外線防御などの機能を持つため、厳しい環境ストレスにさらされる高山植物に蓄積されているのは合理的であったが、そのために主要成分に類似性が見られることが示唆された。
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