難治性うつ病の新規標的分子としてシナプス新生関連因子であるTSP-1に着目し、うつ病の病態や電気けいれん療法(ECT)の作用にどのように寄与するのかを明らかにする目的で研究を行った。重症うつ病患者の血清中TSP-1は、女性患者特異的に有意な低下がみられたがECT前後で変化しなかったことから、性別依存的なtrait markerとなる可能性が示唆された。基礎的研究として雄のコルチコステロン慢性投与うつ病モデルにおける海馬シナプス新生関連因子の遺伝子発現を測定したが、有意な変化は見られなかった。今後は性差に着目した検討が必要だと考えられた。
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