本研究では、脳浮腫の発生に関わる脳細胞であるアストログリアを標的とした新たな脳浮腫治療薬の探索を目的として研究を行った。脳内において、脳浮腫の原因物質であるエンドセリンのETB受容がアストログリアに多く分布していることが確認され、ETB受容体拮抗薬を投与すると、頭部外傷マウスにおけるアストログリアの過剰な活性化が抑制され、脳血管障害および脳浮腫も抑制された。また、これらの抑制作用にはアストログリアで産生される血管障害因子の減少と血管修復因子の増加が関わることも見出した。本研究成果により、ETB受容体拮抗薬はアストログリアの機能を調節することで脳浮腫に対する新規治療薬となりうることが期待される。
|