神経膠芽腫は最も予後の悪い脳腫瘍である。正常脳組織への浸潤が強いため、浸潤や遊走を阻害する薬物療法の開発が早急に望まれる。そこで神経膠芽腫患者で繁用される抗がん剤テモゾロミドおよび抗てんかん薬バルプロ酸を用いて、両薬物が浸潤および遊走に及ぼす影響を4種の神経膠芽腫細胞で検討した。 両薬物の併用では神経膠芽腫の細胞種により浸潤、遊走を阻害する場合と増長する場合があることを明らかにした。その要因は本検討では十分には明らかにされなかったが、integrinおよび下流シグナルが何らか影響を及ぼす可能性が示された。今後、検討を重ねることで、適正な薬物使用法の提案につながる知見を提供できると期待される。
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