基底膜や線維性コラーゲンに代表される細胞外マトリックスは、特異的受容体を介して細胞機能を調節する。下垂体前葉内の細胞周囲には多量の細胞外マトリックスが蓄積している。本研究は前葉内に存在する基底膜成分ラミニンを介した新しい性腺刺激ホルモン分泌機構を明らかにすることを目的とした。免疫組織科学的手法により、ラット下垂体前葉組織内の基底膜に存在するラミニンα鎖の種類を同定した。前葉内に存在したラミニンに対して、性腺刺激ホルモン産生細胞を含む全ての内分泌細胞が反応することがわかった。また、下垂体前葉に発現するラミニン受容体を組織科学的手法により同定し、ラミニンが前葉ホルモン分泌に関わることを示唆した。
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