研究課題
若手研究(B)
海馬歯状回は成人においても神経新生が行われる場であり、その神経ネットワークの形成や維持における役割は老化に伴う認知機能の低下などに抗するものとして着目されている。我々は本研究を通して、アセチルコリンを受容するムスカリンM1受容体が海馬歯状回の神経幹細胞において細胞の内部に局在して機能しうることを明らかにした。この細胞内M1受容体は特にMAPキナーゼ系のERK1/2の活性化に働くことが分かり、神経幹細胞の増殖や維持に関わる可能性が示唆された。
分子薬理学
海馬歯状回は成人においても神経細胞が新しく作られる神経新生の場であり、認知症など加齢に伴う神経疾患に関わるものとして着目されている。一方、アセチルコリンの受容体であるムスカリンM1受容体はこれまで細胞の表面に存在して働くと考えられてきた。本研究で我々は細胞の内部に局在するM1受容体が細胞の増殖や維持に関わるシグナルを引き起こすことを明らかにし、神経新生を亢進する新たな治療ターゲットとなりうる可能性を示した。