本研究の目的は、唾液腺導管癌 SDCの分子病理学的性質を明らかにすることである。SDCはアンドロゲン受容体ARを発現する、比較的まれな唾液腺悪性腫瘍であり、非常に予後が悪いことが特徴である。SDCの増殖はアンドロゲン依存性であることが報告されている。他のAR発現腫瘍(前立腺癌やアポクリン乳癌)と同様に、アンドロゲン遮断療法がSDCに有効であることが明らかになりつつあるが、SDCの遺伝子発現様式の詳細は不明である。本研究ではSDC、前立腺癌、アポクリン乳癌の3腫瘍の遺伝子発現を比較検討することによって、共通あるいは特異的な性質を明らかにし、SDCの診断マーカー同定や治療開発を目指す。
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