RSウイルスは、感染すると主に細気管支炎を引き起こす。本研究課題では、近年出現したON1型と呼ばれる新たな遺伝子型をもつRSウイルスについて解析を行った。ON1型RSウイルスがもつ遺伝子学的特徴を全ゲノムレベルで明らかし、系統学的解析によってON1型が出現した進化過程を考察した。さらに、数理モデルによる検討の結果、季節性の有無や免疫学的差異が新しい遺伝子型をもつウイルスの流行拡大に寄与しうることがわかった。さらに、培養細胞を用いた感染実験によって、ON1型RSウイルスが従来のウイルスとは異なる形質を示すことがわかったため、今後その分子生物学的メカニズムをさらに詳細に検討する必要性が示唆れた。
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