本研究は、日本人HIV-1慢性感染者において、HLA適応変異ウイルスを認識するCTLの誘導の実態とそれらCTLの病態進行への関与を明らかにすることを目的とした。感染者集団のHLA適応変異を含むウイルス配列から推定されたエピトープの内、長期に野生型と変異型の両方のウイルスの共存もしくは頻繁な往来が観察されたエピトープでは、変異エピトープを認識するCTLが誘導されていた。これらの結果は、HIV-1慢性感染期において、HLA適応変異ウイルスを認識する新たなCTLが誘導され、それらCTLがHIV-1の増殖制御ひいては病態の維持に寄与している可能性を示唆している。
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