非アルコール性脂肪肝炎進展に関与するERストレスの同定と新規治療法の開発

2018 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 16K19343
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 消化器内科学
• 研究機関: 鳥取大学
• 研究代表者: 的野 智光 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (60571841)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 非アルコール性脂肪肝炎 / ERストレス

研究成果の概要

FLS、FLS-ob/obモデルマウスの肝組織からERストレスの発現を確認した。FLS-ob/obマウスは24週齢、36週齢では脂肪肝炎を、36週齢、48週齢で明らかな肝線維化を認めた。Tgfb1、Colla1、Timp-1の発現は、24週齢、36週齢、48週齢で有意に増加しており、Tgfb1、Timp-1は週齢が進むにつれて増加した。ERストレス関連遺伝子であるAtf3、Nupr1、C-junの発現はFLSマウスに比較して24週齢、36週齢、48週齢で有意に増加していた。結果として、NASHの病態進展にはERストレスが関与していることが明らかとなり、臨床応用への可能性が示唆された。

自由記述の分野

非アルコール性脂肪性肝炎

研究成果の学術的意義や社会的意義

近年、非アルコール性脂肪肝炎の病態進展に小胞体ストレスの関与が報告されているが、本研究は、FLS-ob/obマウスを用いて、非アルコール性脂肪肝炎における小胞体ストレスの役割について明らかにしたものである。非アルコール性脂肪肝炎マウスでの肝線維化進展にAtf3、Nupr1、C-jun遺伝子発現が増加し、さらにアポトーシスが深く関与している可能性が示唆された。本研究は、非アルコール性脂肪肝炎において、小胞体ストレス遺伝子であるAtf3、Nupr1、C-jun遺伝子が肝線維化や炎症などの病態形成に関与する新たな知見であり、将来的に非アルコール性脂肪肝炎の創薬に繋がる可能性がある。