ヌードマウス肝癌細胞皮下移植腫瘍に対し、DPP4阻害剤は腫瘍内NK細胞浸潤を亢進させ有意に腫瘍増大を抑制したが、CXCR3中和抗体や抗アシアロGM1の併用によりその効果はキャンセルされた。また、DPP4阻害剤はCXCL10刺激によるNK細胞の腫瘍細胞への走化性を亢進させた。一方、Huh7細胞の培養上清にCXCL10を添加するとHuh7由来のDPP4活性によりCXCL10のジペプチド分解を認めたが、DPP4阻害剤はこれを抑制した。したがって、肝癌由来のDPP4活性はCXCL10-CXCR3 axisを介したNK細胞走化性を阻害するが、DPP4阻害剤はこれを抑制し抗腫瘍効果を発揮すると考えられた。
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