本研究は、腸炎によって胆汁酸が大腸に流れ出すことでAID (活性化誘導シチジンデアミナーゼ)の発現が誘導され、腸管上皮細胞の遺伝子発現が変化する可能性について検討した。大腸由来の培養細胞に胆汁酸処理を行うとAIDの発現が誘導されることが示唆された。そこで、「AIDを発現させた培養細胞」と「腸炎を発症したマウスの腸管上皮細胞」の遺伝子発現プロファイルを比較したが、共通する遺伝子は同定することができなかった。興味深いことに、マウスの腸管上皮細胞において細胞の生存環境に重要な足場を構成する遺伝子の発現にAIDが寄与していることを同定した。
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