Ⅱ型肺胞上皮細胞は正常な肺機能を維持するのに重要な肺サーファクタントを産生する役割を持つが、脂質代謝の変化が肺線維症および肺気腫にもたらす影響についてはほとんど知られていない。我々は肺の脂肪酸組成を制御するElovl6酵素に着目し、Elovl6欠損マウスを用いて肺線維症および肺気腫モデルマウスを作製した。その結果、肺における脂肪酸組成の変化により細胞死や分化度およびリン脂質合成酵素LPCAT1, LPCAT4の発現が著明に変化し、肺の病態形成に深く関与することが明らかとなった。よって、Elovl6が肺線維症および肺気腫に対する新たな治療標的となる可能性が示唆された。
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