本研究は,長期臥床による筋肉量の低下により,従来の方法では腎機能を推定しがたい重症心身障害児 (者) における腎機能の評価に,「採尿を必要としない血漿イヌリンクリアランス法 (p-Cin)」を用いて正確な腎機能を把握することを目標とした.症例数は目標には届かなかったが,本研究により,既存の血清クレアチニンによる推算式は,筋肉量が極端に少ない重症心身障害児(者)に適しておらず,軽度の腎機能障害を見逃す可能性が明らかとなった.また、既存の採尿を必要とするイヌリンクリアランス法は施行自体が困難であり,今回我々が試みた採尿をp-Cinがそれらの欠点を打開できる可能性が示唆された.
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