Aicardi-Goutieres症候群(AGS)、Familial Chilblain Lupus(FCL)の確定診断と新規患者集積のため、遺伝子検査を施行した。またこれらの疾患はⅠ型インターフェロン関連疾患(Interferonopathy)と考えられているが、近年単一遺伝子異常による同関連疾患の報告が増えるに従って、我々も対象疾患を増やし、遺伝子検査をパネルとして次世代シーケンサーによって施行した。 また我々の取り組みもあり、現在ではAGS1-7(TREX1、RNASEH2B、RNASEH2C、RNASEH2A、SAMHD1、ADAR、IFIH1)の他、TMEM173、PSMB8、PSMB9、PSMB4、PSMA3、POMPの計13遺伝子が、保険適応検査となった。これにより一般医からも遺伝子検査を提出できる状態となり、検査の敷居は低くなったと考えるが、これにより本邦における全症例の把握が困難となった。 結果として、これまでに我々の行った検査によって遺伝子変異の確定したAGS患者は、AGS1(TREX1)6名、AGS2(RNASEH2B)1名、AGS4(RNASEH2A)1名、AGS5(SAMHD1)4名、AGS7(IFIH1)5名の計17名であり、SPENCDI(ACP5)患者も1名同定している。これらの成果は、稀少疾患の認知度拡大や、それに伴う遺伝子検査の保険適応への拡大に寄与した。 また遺伝子検査で異常が同定されない患者に対して適宜エクソーム検査を追加しており、今後新たな疾患が判明する可能性を残している。 レコンビナントTREX1ヘテロダイマーを用いた機能解析系の確立は著しい進歩が見られなかったが、患者さんへの臨床応用につながると考えられ、今後も継続していく方針である。
|