近年、親による子の虐待やネグレクトといった不適切な養育が大きな社会問題となっており、適切な養育を行うための神経メカニズムの理解が求められている。これまで養育行動の神経メカニズムは主にげっ歯類を用いて研究され、内側視索前野という領域が重要な役割を持つことが分かっている。しかし、げっ歯類のメカニズムをそのままヒトに外挿するのは難しく、進化的にヒトにより近い霊長類を対象とした研究が必要である。本研究は、一夫一妻で繁殖し家族で子を育てる霊長類であるコモンマーモセットを対象として、霊長類においても内側視索前野が適切な養育行動の発現のために重要であり、特に子への寛容性に強く関わっていることを明らかにした。
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