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2016 年度 実施状況報告書

逐次近似画像再構成法を用いた小児CTの被ばく低減

研究課題

研究課題/領域番号 16K19821
研究機関広島大学

研究代表者

谷 千尋  広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (30526926)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード小児CT / X線被曝
研究実績の概要

広島大学病院が所有している乳児期(1歳)、幼児期(5歳)を模倣した線量測定用小児ファントムを使用して、現状のCT撮像プロトコールのX線被曝線量を測定した。現状では、乳児期のプロトコールでの被曝線量は、1.91mGy、幼児期のプロトコールでの被曝線量は、2.54mGyであった。画像ノイズ(Noise index:NI)を上げていくと、被曝線量は下がっていくため、同じファントムを用いて、画像ノイズを上げていった場合の線量測定を行った。ちなみに現状のプロトコールでは、NI=12と設定している。乳児期ファントム、幼児期ファントムともにNI=30前後が限界値であり、それ以上のNIに設定しても被曝線量の実測値はあまり変化しなかった。使用装置の限界があると考えられた。NI=30の際の被曝線量は、乳児期ファントムで0.39mGy、幼児期ファントムで0.45mGyという結果であった。仮にNI=30で撮影したCTで腫瘍サイズの計測が可能であった場合、現状の被曝線量の1/5まで被曝を低減することが可能であり、小児がんの患児にとって、非常に有用である。
次のステップとして、小児がん患者の体幹部を模倣したファントム(内部に模擬腫瘤を含む)を作成して、実際にはどの程度までNIを上げても腫瘍サイズの評価か可能な画像が得られるかを検討する予定としている。過去の当院でのCTを参照して、ファントム作成のためのデータを収集しているが、体格、腫瘍のCT値には個体差が大きく、標準的なファントムの作成に思考錯誤している段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

小児がん患者の体幹部を模倣したファントム(内部に模擬腫瘤を含む)の作成に時間がかかっている。以下の点が主な理由である。
①乳児期、幼児期、学童期の体格に近似するようなファントムを作成したいのだが、個体差があり、標準化することが難しい。
②小児がんの種類も様々であるため、模擬腫瘤をどの程度のCT値とするか、周囲組織とのコントラストの差をどの程度とするかがまだ検討段階。
過去の小児がんのCT例を後方視的に参照しながら、適切なファントムが作成できるよう現在も検討を続けている状況である。

今後の研究の推進方策

過去のCTから得られた収集したデータを検討し、小児がん患者の体幹部を模倣したファントム(内部に模擬腫瘤を含む)を作成する。そのファントムを使用し、逐次近似画像再構成法を使用した場合、どの程度まで被曝線量を下げたCT画像で、腫瘍サイズの評価が可能かを検討していく。ファントムを様々な条件下で撮影した画像において、模擬腫瘤のサイズ測定の読影実験を放射線診断専門医に行ってもらい、正確なサイズ評価が可能かどうかを検討し、最適な撮影条件を決定していく予定としている。その後、ファントム実験で得られた結果を実臨床に応用していきたいとも考えている。

次年度使用額が生じた理由

ファントム作成に遅れが生じており、ファントム作成のために予定していた経費を使用することができなかったため。

次年度使用額の使用計画

大きさの異なるファントムが必要であり、内部に入れる模擬腫瘤も様々な大きさ、濃度のものが必要となる可能性があるため、その作成費用として使用する。作成したファントムを使用した実験により成果が得られた場合、その結果を国内学会や国際学会で発表したいと考えており、その際の使用も計画している。

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公開日: 2018-01-16  

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