胃癌の肝転移はきわめて予後不良であり、新規分子標的治療薬の開発および悪性度診断マーカーが不可欠である。肝転移を有する胃癌症例から得られた組織を対象とし発現プロファイリングを行った結果、SYT7が胃癌原発巣において胃非癌部に対し有意に発現亢進していた。SYT7ノックアウト胃癌細胞株では細胞増殖能、遊走能、浸潤能のいずれも有意に低下し、マウス皮下腫瘍モデルおよび肝転移モデルにおける造腫瘍能も低下していた。胃癌原発組織中SYT7高発現は血行性転移および再発に有意な相関性を示し、胃切除術後の予後不良因子であった。SYT7が胃癌血行性転移の診断および治療の両面から有望な標的分子であることが示された。
|