頚静脈と内頚動脈を吻合して静脈洞を閉塞することで動物モデル作成を行った。AVF動物モデルは高い確率では作成できず、治療効果を検証しうる動物モデルの作成は困難であった。 動物実験では内科治療の可能性を検索することは困難であったため、硬膜動静脈瘻症例の病変部の血液を採取して血管新生因子の発現を検証した。 病変部まで誘導したマイクロカテーテルからの血液と大腿静脈の血液を採取して、病変部における血管新生因子の発現を抗体アレイキットを用いて42種類の血管新生因子を網羅的に測定して、対照との比較を行って病変部の血管新生の半定量値を算出した。算出されたデータは病変部位、病期によって分類した。症例は20例、海綿静脈洞部10例、横静脈洞/S状静脈洞部7例、そのほか3例であった。海綿静脈洞部においてはAggressive typeではBenign typeと比べてVEGF-R3、IL1β、MMP9、uPARの発現が抑制されていた。Aggressive type、Benign typeのいずれでも発現が亢進している因子は認めなかった。現在はそのほか採取した検体の 計測を行っており、今後は病変ごとや病期ごとに血管新生因子の発現の評価を行う。硬膜動静脈瘻の発生や進行に関与する血管新生因子を同定する。
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