背景>我々は、がん細胞の周囲に存在する宿主細胞が作り出すがん微小環境をターゲットとする治療薬の開発を目指し、腫瘍宿主相互作用の解析を進めている。近年、がん微小環境において間葉系幹細胞が腫瘍増殖や転移に関与するという報告が複数みられることから、高頻度に肺転移をきたすマウス骨肉腫細胞株LM8と脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を用いて、皮下移植巣および肺転移巣の微小環境においてADSCが肺転移増大に寄与するかを検討した。 方法>ルシフェレースを導入したマウス骨肉腫細胞株LM8を皮下注すると、皮下注後4週で肺転移をIVISで検出できるが、この際に、ADSCをLM8に混ぜて皮下注を行った群を作成し、皮下移植巣と肺転移巣の増大スピードを検討した。 結果>ADSCをLM8と混ぜて皮下注を行った群では、コントロールと比較し、皮下移植巣および肺転移巣いずれも増大が抑制される結果となった。 考察>ADSCは骨肉腫の原発巣および肺転移巣において、腫瘍増大を抑制する可能性が示唆された。今後、コントロールとしてFibroblastやマクロファージを用いて同様の検討を行う予定している。また、In Vitroでの共培養を用いて、腫瘍増大に関与する分子の同定も行う予定にしている。
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