研究実績の概要 |
がん治療における課題は、転移・再発への対応であり、がん患者における転移の有無やその性状の把握は予後評価や治療方法を検討する上で重要な情報となっている.そのためには 癌の検出感度の向上に取り組むことが重要である. 婦人科系のがんは女性の生命とQOLに直結する病である.子宮頚がんは近年増加傾向にあり,子宮体がん,卵巣がんは骨盤内にがんが浸潤しやすいため,早期発見が困難である.このため,末期での発見が多く手遅れになりやすい事などから,早期発見が特に強く望まれる.子宮頸がんでは,検診が浸透し,早期発見すれば比較的予後がよいが,検診に対して侵襲が大きいため依然としてがんの予後改善にはほど遠い状態である.一方,既存の採血による腫瘍マーカーによるがん検出率は,依然として低いため,,採血で容易に,かつ早期に高確率で発見する新たなシステムの確立が早急に求められている. われわれは、新規開発の血中循環腫瘍細胞(CTC)捕捉・計測デバイスであるCTCチップの臨床応用を目標として研究を進めている.我々はすでに大腸癌のCTC解析を行っている。このため、子宮癌、大腸癌の癌腫による検出率の違いなどを臨床的に検証することも行っている。癌腫による違いを検証することにより新たな腫瘍マーカーとしてのCTC活用も期待できる。 本邦初であるこのシステムの実用化により,既存の腫瘍マーカーで検出できなかったがんが採血で容易に診断できれば,即応的 に治療に貢献することができ,医学的な貢献度は大きいと考えられる。
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