研究実績の概要 |
2016年度はウィルス関連頭頸部扁平上皮癌として古くから知られている上咽頭癌とEBV,HPVの関連に関してそのウィルス関与の臨床的意義に関して検索を進めた。後ろ向きデータベース上から検索しえた上咽頭癌症例のうち、p16蛋白の過剰発現は2割程度に認めていたものの、HPV-ISHで陽性症例は認めず、上咽頭癌に対してHPVの関連はほぼ認めないことが明らかとなった。次いで、EBER-EBVによるEBV関連腫瘍の存在を明らかにしたのち、臨床的因子、特に免疫反応を示唆する末梢血リンパ球数、末梢血好中球数との関連を検索したところ、上咽頭癌はEBV陽性、TypeI上咽頭癌、EBV陰性、Type II-III腫瘍の3つに区分することができた。 この群間で予後を比較したところ、TypeI上咽頭癌の予後が他の2群を比較して優位に悪く、その一方で他2群に関しては末梢血リンパ球数および好中球数が有意差を持って異なり、臨床的な免疫応答の違いが発癌因子と関連があることを示唆された。また、中咽頭癌、上咽頭癌合わせて免疫応答および臨床的予後に関して検索を継続する予定であるが、その一方でウィルス非関連頭頚部癌である下咽頭癌に対する予後因子も併せて検討する予定である。
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