真珠腫性中耳炎は接する骨を溶かし重篤な合併症を引き起こしうる。しかしその発生要因や骨破壊機序について分子生物学的な知見は乏しく、保存的治療の開発が進まない。本研究では真珠腫に接する骨表面において破骨細胞が増加していることを示し、真珠腫における数的検証は初の報告となった。さらにRNA-sequenceで真珠腫が破骨細胞分化を促す遺伝子発現環境であることを示した。RANKL発現の上流因子の候補検索を行い、実際に真珠腫組織中でその上流因子の濃度上昇を確かめた。真珠腫における骨破壊はこれらの上流因子によって刺激された真珠腫線維芽細胞がRANKLを発現し破骨細胞が分化・増殖するという機序が考えられた。
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