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2016 年度 実施状況報告書

小腸移植成績の向上を目指した自然免疫システム制御法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K20344
研究機関大阪大学

研究代表者

松浦 玲  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00747412)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード小腸移植 / 補体 / マクロファージ
研究実績の概要

小腸移植は他臓器移植と比べ拒絶反応の管理がより大きな問題となる.これまで移植免疫はリンパ球を主体とする適応免疫に主軸を置いて研究されていたが,近年小腸免疫に占める自然免疫の役割が注目されており,小腸移植における自然免疫(補体,マクロファージ)の関与を解明し治療成績の向上を目標とする.ラット小腸移植モデルを用い,移植における補体,マクロファージの変化を計測し,抗補体薬/抗マクロファージ薬投与によるグラフト生着期間の延長効果を検討する.
本年度はラット小腸移植モデル(同種同系移植,同種異系移植)の作成を行い,グラフト生着率を比較した.同種同系移植では30日以上生着するのに対し,同種異系移植では移植6~7日で全例のグラフトロスが確認された.これらは従来報告されている実験モデルの生着率と同等の成績である.
自然免疫の関与については移植後拒絶を起こす術後6日の時点で検体(グラフト小腸,血液,脾臓等)を採取し,補体のmRNA量の測定や脾臓からマクロファージを分離し測定を行っている.
またラット同種異系モデルに投与予定の抗補体薬,抗マクロファージ薬についてvitroで検討を行っている.移植モデルに使用する系統のラットからリンパ球を分離しリンパ球混合試験を行い,抗補体薬,抗マクロファージ薬を投与することで免疫反応が抑制されることを検証中である.
研究で使用している抗補体薬はラット用の薬剤であるが,臨床においては移植以外の疾患で実際に抗補体薬が使用されており,本研究で補体等の関与が明らかとなれば小腸移植において,そのような抗補体薬の適応が期待される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ラット小腸移植モデルの作成は,高度な手術手技を要するため,安定したモデルの作成に時間を要した.
現時点では安定した移植モデルの作成が可能となっており,順次移植における自然免疫系の変化を計測予定である.

今後の研究の推進方策

ラット小腸移植モデルにおいて術前,術直後,拒絶時の自然免疫(補体/マクロファージ)の変化を計測する.
またリンパ球混合試験で免疫抑制作用があると判断した抗補体薬,抗マクロファージ薬についてはラット同種異系移植モデルに投与しグラフト生着率の変化を計測する.
抗補体薬,抗マクロファージ薬単剤で免疫抑制効果が得られなかったとしても,現在広く使用されている免疫抑制剤(FK506,Cyclosporine)を併用し,拒絶の抑制を試みる.これらの免疫抑制剤の使用量を減少できれば,免疫抑制剤の副作用軽減につながると考えられる.
さらにT細胞の活性化や炎症性サイトカイン(IL-2など)の産生に関与するとされるPAK2を抑制する新しい薬剤であるPQA18についても小腸移植の免疫抑制効果があるか検討を試みるよていである.

次年度使用額が生じた理由

一部当初の計画と実際の進捗状況に差異が生じたため、今年度必要となると予想していた経費の一部を今後の段階で使用することが必要となったため.

次年度使用額の使用計画

概ね当初の研究計画の方向に沿って研究を進めるが、今年度までの結果をふまえ、細かい点で作業の進め方に関して変更を加えた形で実験を行っていく。

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公開日: 2018-01-16  

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