リンパ浮腫は慢性的な疾患で現在も根治に至る治療法は確立されていない。大網はリンパ流の豊富な組織で、乳斑と呼ばれるリンパ細網構造物を大量に用する組織である。乳斑の移植によるリンパネットワーク形成の是非を検討した。人間の新鮮解剖体の大網を検証し、さらに本研究用に作成した腹部リンパ浮腫モデルマウスにおいての実験では、血流のない大網乳斑移植では有意なリンパシステムの構築がなされず、血流のあるリンパ節移植では認められた。さらにリンパ節周囲の瘢痕のネットワーク形成への関与が示唆された。 リンパシステムの構築に血流の存在が重要であり、線維化の過程をコントロールすることが今後の課題としてあげられる。
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