「痛み」は生体内外からの警告のサインであり必要な感覚であると同時に、生存にとって不利にも働く諸刃の剣である。そのため、生体には痛みの伝達だけではなく、抑制する機能も備わっている。また痛みの感じ方には日内変動があるとする先行研究が発表されたことから、今回の研究で対象とする三叉神経系においても痛みの伝達と抑制に関して日内変動があるのではないかと考えた。マウスの上口唇にホルマリンを皮下注射して急性持続性疼痛モデルを作成し、疼痛の日内変動を検討した。その結果、マウスでは活動期の夜間で痛みが亢進していること、またその原因として痛みの伝達に関わるトランスデューサーの発現量に昼夜差があることが考えられた。
|