平成31年度は、大腸がん検診における精密検査の受診につなぐ看護実践を目指した取りみについて、研究成果を活用した看護実践を組み立て、大腸がん検診を行う健診機関での実施に継続して、取り組んだ。そして、これまでの研究活動の結果からケアガイドライン(案)を作成した。大腸がん検診を行う健診機関での看護実践の取組は、受診対象者が施設健診を受診されるなかに、大腸がん検診の精密検査の受診を促進させる支援を織り込み、場の設定や人員を含めた企画を展開した。現在、実施の評価を行っている。そのなかで個別支援にあたっている保健師に、看護実践に関するインタビュー調査を行い、受診を促進させる方略を抽出した。①精密検査の受診を促進させていることは、[結果を受ける以前の日常生活のペースのなかで、精密検査の受診に対応できていたこと]、[周囲の人が、受診行動に影響を与えていたこと]、[がんという病気と今の自分との距離感の近さ]、[受診までの手続きがうまくいくこと]、[検査方法から本人が持つ負担感を乗り越えること]、であった。②対象者が精密検査を受診するという決断を支えるための方略は、[受診決断後に受診行動に移る準備性の確認]、[対象者の生活に受診を組み入れるための具体的な行動の提案と決定へのサポート]、[今精密検査を受診するメリットの個別的具体化]、[周囲の人の助けを得る行動への支援]、[検査を受ける前の負担感の軽減]、[精密検査の結果を受けた後の不安を持ち続ける場合のサポート]であった。受診の行動化への評価については、受診率等、健診機関からの指標を活用して行っている。ガイドライン(案)は個別支援に関するものであるが、この支援はシステムのなかで行われることが必要で、大腸がん検診精密検査の受診を促進させるシステムの構築が課題となることがわかった。
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