近年、マラリア感染への腸内細菌の関与について報告がなされているが、腸内細菌がどのようにマラリア感染病態に影響を与えているのか、その詳細に関してはほとんど分かっていない。本研究では、抗生物質の自由飲水投与により菌叢を顕著に変化させると、7~8割のマウスが脳症状を克服する条件を特定した。この条件下における腸内細菌の作用メカニズムの解明に取り組み、脳症状発症時の腸管や脾臓等における免疫応答の変調を明らかにした。腸内細菌が、脾臓等の臓器から末梢および脳へのリンパ球浸潤を抑制して脳症状を軽症化していることが考えられ、腸内細菌による宿主免疫応答の調節により感染病態が形成されている可能性が示唆された。
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