マウスにおいては異性や天敵に由来する匂い・フェロモン物質が性行動や忌避行動をひき起こすことが知られている。しかし、特定の感覚シグナルが適切な行動をひき起こす神経基盤については不明だった。本研究は、生得的にマウスの性行動に影響をおよぼすフェロモンESP1の責任神経回路を末梢から脳の中枢まで特定した。その過程で、内側扁桃体においてESP1は雌雄で異なる神経回路を活性化させること、視床下部においてESP1と天敵のシグナルは同じ脳領域内の異なるニューロンによって処理されることが分かった。すなわち、生得的な行動を制御する感覚シグナルに専用の神経回路が存在することを明らかにした。
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