研究課題/領域番号 |
16K20965
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 朋英 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (10755705)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メタアナリシス / 糖尿病 / 心血管疾患 / 肥満 / 人工知能 / 系統的レビュー / 根拠に基づく医療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、最新の統計学的手法であるネットワーク・メタアナリシスを用いて、糖尿病領域における質の高いランダム化比較試験について、3種類以上の治療法間での治療(予防)効果や安全性の比較を行い、ランク付けすることである。 世界の糖尿病に関するランダム化比較試験を統合し、診療ガイドラインの策定に有益なエビデンスを提供することで、患者さんの年齢や合併症に応じた、個別化された治療方針決定に役立て、世界の糖尿病の治療・予防ガイドラインの礎とする。 本年度は、重症成人患者に対するインスリンによる種々の異なる血糖管理目標が患者の予後に与える影響についての系統的レビューとネットワークメタアナリシスを行った。本研究の結果、厳格な血糖管理は全死亡リスク、感染症死リスク、心血管死亡リスクを減らさず、低血糖リスクがおそよ5倍に増加することが明らかとなった。本成果についてまとめた研究論文が、国際学術ジャーナルに採択された。さらにいくつかの国際会議において関連する研究成果の報告を行った。現在、その研究成果については、学術論文としてまとめ、国際学術ジャーナルへ投稿を行っている。今後は人工知能(AI)を用いた臨床エビデンスの統合と体系化に向け、準備を進めて行く。このために、国内外の臨床疫学、統計学の専門家と協力体制を構築する試みを始めている。さらに今後は、糖尿病治療薬の薬効と有害事象の系統間比較、肥満治療法の効果と有害事象の比較、糖尿病患者における心血管疾患の2次予防法の多群間比較についても検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2016年度は、頻度論に基づくネットワークメタアナリシスの方法について、いくつかの応用上有益な知見を得ることができ、一部の成果は研究論文として、国際学術ジャーナルへ投稿、掲載確定となっている。また、複数の国際会議において講演を行い、本研究課題によって得られた成果を発表した。 3年間の研究期間の中で、初年度が終了した段階ではあるが、順調に研究プロジェクトは進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に得られた成果をさらに発展させ、理論的な検討を進めるとともに、当該研究領域における、近年の重要な研究課題への応用を検討していく。 特に、2017年度は、人工知能(AI)を用いた臨床エビデンスの統合と体系化に向け、準備を進めて行く。このために、国内外の臨床疫学、統計学の専門家と協力体制を構築する試みを始めている。 具体的には、文献検索に関する人工知能搭載ソフト、文献の質的評価に関する人工知能搭載ソフトが、ヒトが行って得られた知見とどのような差があるのがの妥当性の検討を行い、ヒトに替わる質の高いエビデンスが得られるかに関し調査する。
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