犬移行上皮癌(cTCC)におけるBRAF変異のがん遺伝子としての働きを腫瘍細胞自身に与える増殖作用とCOX2-PGE2を介して周囲環境を調節する作用の両面から検討した。その結果、BRAF変異により活性化されるRAF/MEK/ERK経路がcTCC細胞の細胞増殖に与える影響は大きくないか、阻害時にはバイパス経路が活性化することが示唆された。むしろBRAF経路の活性化は腫瘍細胞のCOX2発現とPGE2産生に強く関与することを明らかにした。臨床検体における検討ではBRAF変異症例でCOX2が高発現する傾向を見出し、またBRAF変異の有無によりCOX2が形成する炎症環境が大きく異なる可能性を見出した。
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