研究課題
若手研究(B)
貝殻のカルサイト結晶には有機物ナノファイバーが含まれるが、これがキチンとキチン分解酵素の複合体であることを明らかにした。キチン分解酵素を作用させたキチンナノファイバーやキチン分解酵素の阻害剤を用いた研究により、カルサイト結晶の成長の過程でナノファイバーがしたキチンが結晶欠陥を誘導することを明らかにした。本研究において申請者は貝殻に含まれるキチン分解酵素がキチンの繊維をナノ化することで、カルサイト結晶の欠陥を増幅し、強度を高めるという役割があることを初めて明らかにした。
生物無機化学
本研究の成果により、アコヤガイの貝殻における有機物ナノファイバーの形成機構と機能が明らかとなった。有機物ナノファイバーを有効利用することができれば、真珠養殖後に大量に廃棄される貝殻の付加価値を高めた再利用法に開発に役立つ可能性が考えられる。また、キチン分解酵素を用いて繊維をナノ化し、結晶欠陥を制御することで新たな材料合成の開発に繋がる可能性が考えられる。