研究課題/領域番号 |
16K21073
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
板倉 憲政 岐阜大学, 教育学部, 助教 (20708383)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 移住者 / コミュニティ心理学 / 地方創生 / 心理教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,現行の移住推進政策では地方部への移住者の“移住後の適応支援という視点”が欠如していることから,移住後の移住者のコミュニティへの適応を促すために「移住者」と「受け入れる地域住民」に対する介入プログラムの開発を主たる目的としている。 当該年度の研究では,移住者の移住理由に基づき,移住者のコミュニティ意識と生活満足度,および精神的健康度との関連性を検討をおこなった。対象者は,A県B市に移住してきた移住者18名(男性11名,女性7名)を対象に質問紙調査を実施した。18名の属性としては,平均年齢は40.44歳,移住後の平均経過年数は7.58年であった。また,住居形態は,持家が10名,賃貸が8名であった。配偶者の有無に関しは,有15名,無3名であった。配偶者有15名中,子ども有13名,無2名であった。 移住理由別に,移住者のコミュニティ意識や生活満足と精神的健康度の違いを検討するために,まずは,移住理由をKJ法(川喜田,1986)によって分類した。その結果,(1) 自己実現3名,(2) 子育て環境4名,(3) 結婚4名,(4) 住環境の良さ3名,(5) 仕事の都合3名,(6) 家族の介護や世話1名に分類された。その後,移住理由を独立変数に設定したKruskal-Wallisの検定とMann-WhitneyのU検定による多重比較をおこなった結果,自己実現を移住理由に挙げていた移住者の生活満足度や精神的健康度が高いことが示された。 当該年度の研究結果から,移住者の自己実現を尊重する働きかけが移住者を受け入れる地域には求められる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究体制の構築や,研究協力者の確保などについては順調に進んでいる。現在,調査協力者から得られた大規模な質的データおよび量的データの解析を引き続きおこなっていく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の結果から,移住理由別に移住者が安心できるコミュニティのあり方について一つの示唆を得ることに繋がった。今後は,移住者の調査対象者をさらに増やしながら,地方部の移住問題への解決に活用できるような信頼性・妥当性が保障された知見を提示する必要がある。
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備考 |
岐阜新聞 濃飛回帰IターンUターン第7部番外編 コメント掲載 (2016年10月24日)
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