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2017 年度 実施状況報告書

地方部における移住者のコミュニティへの適応を促す介入プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K21073
研究機関岐阜大学

研究代表者

板倉 憲政  岐阜大学, 教育学部, 助教 (20708383)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード移住者 / コミュニティ / 適応
研究実績の概要

本研究では,移住者の移住理由とコミュニティへの適応および精神健康度との関連や,移住者だけでなく,地域住民が抱える受け入れ側の移住の問題やニーズも整理しながら,移住者の適応を促す介入プログラムを考案することを主たる目的にしている。
当該年度の研究では,都心部から地方部への移住者と都心部の住民を対象に,コミュニティへの適応や精神健康度との関連性について比較検討することであった。本調査の結果,都心部の住民は,「私は地域のあり方に対して影響力を持っている」といった<地域への影響力>や,「地域でのボランティアなどの社会的活動に参加してみたい」といった<連帯や積極性>は生活満足度と負の関連が示された。特に,<連帯や積極性>は,精神健康度の悪化と正の関連が示され,都心部の住民は地域活動を盛んに行うことがあれば,精神健康度が悪化していく可能性が示された。
一方,都心部から地方部への移住者は,「この地域に住む人々はお互いに良い関係を保っている」といった<情緒的結合>が生活満足度との正の関連が見られた。加えて,<情緒的結合>は,精神健康度の悪化と負の関連がみられ,地域住民との良好な関係は精神健康度の悪化を食い止める要因になる可能性が示唆された。しかしながら,「この地域に住む人々は,みな同じ価値観を共有している」といった<統合・ニーズ>や<連帯や積極性>は,都心部から地方部への移住者の精神健康度が悪化していく可能性が見出された。
以上のことから,当該年度の研究では都心部から地方部への移住者では,都心部の住民と同様に,都心での生活環境の影響を引き継いでいるため,地域活動に密接に関わることがかえって,地方部への移住者の精神的健康度を損なう可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度の研究計画を一部変更し,改めて都心部の住民と地方部への移住者のコミュニティ意識やコミュニティへの適応感を比較検討する計画を加えたため。

今後の研究の推進方策

今後の研究では,都心から地方部への移住者を対象に,インタビュー調査を用いて移住者がどのような問題を抱えて生活しているのか,さらには移住者が適応していくためにはどのような支援や地域住民との交流が役立ったのかについてインタビュー調査を実施する。質的データでは,モデルを構築するのに適した修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを分析の枠組みとして採用する。生成した概念と他の概念との関係をひとつずつ恣意的にならないよう慎重に検討しカテゴリーの生成を行う。その後,カテゴリー相互の関係から分析結果をまとめ,移住者の適応を促す介入プログラムのモデル図の作成を行う。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の研究計画に含まれていた質的データ解析に必要な経費が次年度以降に必要になるといった計画の変更が生じたため。

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公開日: 2018-12-17  

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