研究課題/領域番号 |
16K21098
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
前田 佳弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70769869)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 数理計画法 / フィードバック制御 / サーボ / 極限性能追及 |
研究実績の概要 |
本研究は,各種産業サーボシステムの極限性能追及を可能とする数理計画法に基づくフィードバック(FB)制御器設計法の確立を目的としている。平成28年度は,その基礎となるFB制御器設計理論の構築というステップであり,主に下記3点に取り組んだ。 1.安定性・外乱抑圧性能を考慮した最適化問題の定式化: 本研究で掲げるサーボ性能の極限追及は,FB制御器設計における安定性と外乱抑圧性能のトレードオフ追及を意味する。それを安定性制約下における外乱抑圧性能の最大化と捉えた数理計画問題に帰着するために,安定性はナイキスト線図上の不等式制約,外乱抑圧性能は等式制約あるいは評価関数として,線形行列不等式(LMI)や逐次2次計画法による最適化問題の枠組みで定式化した。 2.産業サーボシステムの実問題を考慮したFB制御器設計法の検討: 上記1の設計法をベースとして,産業サーボシステムでしばしば経験される稼働環境によるパラメータ変動・不確かさを考慮した,ロバスト安定・ロバスト外乱抑圧性能に係る最適化問題として拡張した。 3.非線形パラメータ構造FB制御器に対する設計法への拡張: 次年度に予定する極限性能追及アルゴリズムの構築を見据え,FB制御器構造をも自由度とするために,非線形パラメータ構造FB制御器に対する設計法について検討した。そこでは,非凸な評価関数が最適化問題の求解を難しくするため,評価関数を凸関数へと近似変換する方法を構築し,非線形パラメータ構造FB制御器を扱うことを可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の平成28年度研究計画・方法に従って,数理最適化問題に基づく安定性・外乱抑圧性能の性能追及問題の検討と基礎理論定式化が実施された。それらは,平成28年度購入したFFTアナライザを用いた実機検証によって,実課題に対する有用性も検証することができた。また,平成29年度に予定する極限性能追及アルゴリズムに向けてFB制御器構造も自由度として扱える可能性についても手応えを掴んでおり,順調な進捗である。 研究成果の一部を国際会議にて発表し,その成果を広く公表できたと共に,学会において有識者と議論を交わすことで,多角的なアプローチによる研究推進に繋げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,数理最適化の『可解性』と『評価値解析』による極限性能追及アルゴリズムの構築とその実験検証である。上期では,平成28年度の基礎理論をさらにブラシュアップし,数値シミュレーション環境を拡充して極限性能追及アルゴリズムに適した設計理論の見極めをスピーディに進めていく。下期は,産業サーボシステムに対する本研究の有効性を実験検証し,本研究を纏める。
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