研究実績の概要 |
計画1: H3K9 脱メチル化酵素Jmjd1 ファミリーによるSry 発現制御の解明Jmjd1a とJmjd1b の機能相補性を明らかにする目的で、生殖腺特異的なJmjd1a/Jmjd1b 二重KO マウスを作出し、性転換頻度をJmjd1a およびJmjd1b の単独KO マウスと比較した。結果、各々のKOマウスの性転換効率は、Jmjd1a KO = 約10%, Jmjd1b KO = 0%, Jmjd1a KO/Jmjd1b Het = 約90%, Jmjd1a Het/Jmjd1b KO = 0% そして、Jmjd1a/Jmjd1b DKO = 100%だった。以上の結果から、(1)性決定には胎児期生殖腺体細胞における脱メチル化酵素Jmjd1が必要である, (2)性決定にはJmjd1aがドミナントに作用する, (3)性決定にはJmjd1a/Jmjd1bの間の機能重複が存在することが明らかとなった。 計画2: Sry 遺伝子座に特徴的なヒストン修飾と制御因子の探索性決定に関与する新規因子を探索する目的で、セルトリ前駆細胞(E11.5日にSryを発現する細胞)の精製を試みた。すなわち、Sf-LNGFR Tgマウスを用いて転写因子Sf1を強く発現する細胞と弱く発現する細胞に分画した後、これらの間でSry mRNAの発現量を比較した。結果、Sry発現はSf1を強発現細胞のみで見られたことから、Sf1-LNGFR Tgマウスを用いてSf1強発現細胞を分画することで、セルトリ前駆細胞を濃縮精製することが可能となった。
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