本研究は,過去2万年間におけるブナの拡大過程を時空間的に検討するために,東北日本において高精度に年代決定された花粉分析データを構築するとともに,堆積物に含まれるブナ花粉化石の葉緑体DNAの解析を行った。本研究は東北日本の6地点で採取されたボーリングコア試料を基にして,高精度に年代決定された花粉分析データから,各地点における最終氷期以降のブナの拡大開始を明らかにした。また,本研究では各地点の堆積物に含まれるブナ花粉化石の葉緑体DNA解析を行ったが,十分なDNA情報が得られなかった。一方,本研究は東北日本における花粉分析データを比較し,東北地方においていくつかのブナの逃避地を示した。
|