研究課題/領域番号 |
16K21256
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
伊藤 慎也 北里大学, 看護学部, 講師 (30736707)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 放射線 / 偏見 / 差別 / 不安 |
研究実績の概要 |
福島第一原子力発電所の事故以降、妊産婦の放射線被ばくへの不安が強い。将来、子どもを持ちたいと考える者が、放射線被ばくに対する偏見・差別(スティグマ)に曝されることで、自身へのセルフスティグマを抱き、精神健康に負の影響を及ぼすことが予想される。将来子どもを持つことについて、放射線被ばくに関連したセルフスティグマ(男性を含む)の①形成要因、②軽減要因、③セルフスティグマが及ぼす影響を検討することを目的とした。研究1年目は、①形成要因、②軽減要因、③セルフスティグマが及ぼす影響の項目を抽出することを目的として、(1)セルフスティグマに関する文献レビュー、(2)専門家へのインタビュー調査を行った。 (1)セルフスティグマに関する文献レビューの結果、①形成要因として「偏見を受けている意識」「否定的認識」、②軽減要因として「否定的認知の変容」「地域住民の知識普及」、③セルフスティグマが及ぼす影響として「自己効力感の低下」「自尊感情の低下」「QOLの低下」が挙げられた。また、自己効力感や自尊感情の低下に伴い、二次的に抑うつ傾向などにつながることが示唆された。 (2)福島県にある某大学の養護教員および学生相談員を対象にインタビュー調査をした結果、①形成要因として、「周囲での否定的体験談を聞くこと」などが考えられた。②軽減要因として、放射線被ばくに伴う「不安を周囲と話すこと」、「周囲も同不安を感じていると知ること」が挙げられた。③セルフスティグマが及ぼす影響として、「不安を周囲と相談できない」「(パートナーおよびパートナー家族からの)受け入れ不安」などが挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
将来子どもを持つことについて放射線被ばくに関連したセルフスティグマの①形成要因、②軽減要因、③セルフスティグマが及ぼす影響の項目を抽出するために、(1)専門家へのインタビュー調査、(2)自由記述形式の質問紙調査(20名程度)を実施する予定であったが、(1)専門家へのインタビュー調査の実施に留まった。研究代表者が平成28年10月1日に異動したため、倫理委員会への申請・承認等に遅れが生じ、(2)自由記述形式の質問紙調査に至らなかったと考える。1年目は、(2)自由記述形式の質問紙調査に至らなかった代わりに、セルフスティグマに関する文献レビューを行い、①形成要因、②軽減要因、③セルフスティグマが及ぼす影響について検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、放射線被ばくに関連したセルフスティグマの①形成要因、②軽減要因、③セルフスティグマが及ぼす影響の項目を抽出するために(1)自由記述形式の質問紙調査(20名程度)を行う。また、上記で抽出した重要項目の精査を目的として、(2)専門家間でのパネルミーティング、(3)100名程度を対象とした質問紙調査を行う予定である。
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