観光客の動機・満足度・再訪意向の関係とリピーター創造に関する研究として、主にベネフィット・セグメンテーション、満足度と再訪意向の関係、バラエティ・シーキング行動に焦点をあて進めた。研究対象は、日本人のほか東アジアからのインバウンドである。 平成28年度は、それまでの研究成果を基に、旅行動機、満足度、再訪意向の関係について整理、先行研究のサーベイを行った。より自分の好みに合う観光地を探索するバラエティ・シーキング(VS)行動に着目した研究を進めることが、本研究の目的であるリピーター創造について重要であると考えるに至った。 平成29年度は、訪日経験が2回以上の台湾人を対象にweb調査を実施した。旅行動機は「楽しむ」「リラックス」が主であるとわかった。満足度と再訪意向は高い傾向にあるが、次に行きたい観光地として日本以外を回答した人も多く、観光地の選択や再訪につながる動機、意向の関係をより深く追究することが重要という課題が明らかになった。 平成30年度は、前年度の課題について、タイ、韓国、台湾の訪日経験者を対象に計27名にインタビュー調査を行った(中国本土は予定が合わず未実施)。その結果、訪日理由はビザの緩和、近い、安いが主であった。初回は団体ツアーで訪日し、満足度は高いが「好きなように回れない」という心残りがあった。2回目以降は団体ツアーは利用せず、自分たちの好きなように計画する傾向があり、それが日本の魅力ということだった。リピーターには、VS行動をする、毎回同じ観光地で同じことをするタイプがいた。また同じ観光地でも時期やメンバーが異なれば「再訪ではない」と考えていた。リピーター創造では多様かつ新規の体験メニューばかりでなく、いつ行っても同じように過ごせることも重要であることがわかった。また、グループで意思決定をする特徴があり、同行者の意見により訪問先を変えることが多くみられた。
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