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2017 年度 実施状況報告書

建築・都市景観と知的財産法制度に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K21423
研究機関明治大学

研究代表者

澤田 悠紀  明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (10773236)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード建築 / 都市 / 景観 / 知的財産 / 意匠 / 文化財 / 歴史的建造物 / 法
研究実績の概要

本年度は、知的財産としての建築・都市景観を思考するにあたり核となる「建築の外観は誰のものか」という問いにつき、特に、不動産および文化財についての(知的)所有権理論を国内外において調査し、その分析を行った。
前年度に引き続き、フランスおよびイギリスを中心とした西欧諸国における建築・都市景観にかかる法制度を主たる調査対象としつつ、新たに、建築意匠において歴史的にフランスおよびイギリスの伝統が交錯し、法制度においてもまた仏法および英米法からの影響が交錯するカナダ国ケベック州をはじめ、北米地域を調査対象に加えることにより、異なる文化的土壌を有する人々により新たな社会が構築される局面における、建築・都市景観の (A)創作物としての知的財産法的価値 (B)不動産としての財産的価値 (C)表現としての憲法的価値 (D)文化的所産としての文化財保護法的価値 のあり方について、検討を深めた。このことは、次年度以降、特に明治期以来のわが国における建築意匠・都市景観と法制度との関係を研究するにあたり、強固な基礎となる。
上記のように、本年度は、次年度以降の研究の基礎となるべき調査・整理・分析および次年度公表予定の中間的成果報告の執筆に専念する一方、資料収集の過程において、国内外における収集先当事者との議論の前提を構築するための小規模の公表を繰り返し行うことで、充実した調査と議論を重ねた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)国内における研究について
①建築・都市景観についての実態調査・資料収集、関係者との意見交換などのフィールドワークを、精力的に実施した。建築・都市景観の文化的価値と財産的価値とがぶつかり合う場面において、各地で如何なる問題解決手法がとられているかを中心に調査し、調整原理の抽出を行った。 ②法学系および建築学系の研究会の双方に多数参加し、両分野における研究者と議論を行った。また、法律家との議論に加え、わが国著作権法における「建築の著作物の著作者」に該当すると同時に、都市景観を享受する「市民」でもあるところの、多くの建築家と議論を重ねた。
(2)国外における研究について
①カナダ国ケベック州に拠点を置き、建築意匠において歴史的にフランスおよびイギリスの伝統が交錯し、法制度においてもまた仏法および英米法からの影響が交錯するという、この地域の特殊な現状を調査し、問題点の抽出を行なった。 ②オランダ国南ホラント州デン・ハーグ市に拠点を置き、歴史的建造物の活用・保存の分野において世界有数の研究機関とされるデルフト工科大学をはじめ、デン・ハーグ市に集中する各種国際機関において、情報収集にあたった。

以上により、当初の予定通り、本年度はカナダ国をはじめ特に北米を中心とした調査研究が滞りなく進められ、次年度以降の公表準備に向けた足固めが整ったと考えられるため、本研究は概ね順調に進展しているものと評価する。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画の通り、本年度までに本研究に必要となる資料の多くを収集したため、次年度以降は、最終的な公表に向けた準備を本格化する。国内においては小規模の研究会を開催し、国外においても積極的に批判的検討を得るための機会を設け、また、中間的な成果報告をも行う予定である。
より具体的には、次年度は、わが国において「建築物の外観は誰のものか」につき、明治期以来、所有権概念(知的所有権・不動産所有権)との関連で、諸外国と異なる解釈がとられてきたと考えられる点につき、これをまとめ、公表する。その一歩を踏まえ、さらに最終年度における公表へ続く準備作業を推進する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初、購入を計画していた多数の資料について、特に国外の図書館・公文書館等にアクセスすることにより、その購入にかかる費用を抑えることができた。次年度以降、同様に図書館・公文書館等における資料収集にあたり必要となる経費に充てる計画である。

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公開日: 2018-12-17  

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