研究課題/領域番号 |
16K21423
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
澤田 悠紀 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (10773236)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 知的財産法 / 建築 / 都市 / 景観 / 政策 |
研究実績の概要 |
2021年度は、本来予定された研究の最終年度であり、新型コロナウイルス感染症による移動制限等による影響を受けた点を除いては、予定通り、研究の総まとめへの取り組みを進めた。 まず、これまでの調査から、建築にかかる財産権と「知的」財産権との関係について、一つの物体のうえに二つの異なる財産権の相克が認められるとき、また、財産権と人格権の相克が認められるとき、この両者がいかしてに調整され得るか、その調整原理について明らかにするために複数の手法から分析を行った。その分析・検討を進めるにつれ、建築物の私有概念と公有概念(domaine public)との関係が極めて重要であることが再認識された。この点について、これまでに収集した資料の更なる検討に取り組み、同時に、国内外の研究者とオンラインでの定期的なディスカッションを重ねることができたことは、きわめて有意義であった。また、国内において、特に東京丸の内および2021年度からの本務校が存在する群馬県高崎市における建築・都市景観にかかる知的財産制度ついて実証的な研究を行う機会を得ることができたのは、研究計画当初の予定を上回る成果であった。 これらの研究実績は、最終成果物の公表に向けた執筆のほかに、国内外の複数の共著の出版、東京丸の内の建築・都市景観についての共同研究やシンポジウムの主催、国会議員会館におけるセミナーへの登壇、建築家会館における連続シンポジウムへの参加などにつながった。自身の研究に対する多角的な観点からの批判的検討の機会を多く得られたほか、社会に一定程度の還元を行えたことから、有意義であったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、新型コロナウイルス感染症も沈静化し当初予定していた資料収集や成果報告に出られることが期待される日々が続いたものの、2022年3月に至ってもなお状況は大きく変化することなく、最終年度に予定していた研究内容を完全に計画通りに遂行することは叶わなかった。他方で、我が国の中心である東京丸の内の建築・都市景観、特に皇居と高層ビルにかかる制度についての歴史的研究を大きく進展させることができたことまた、所属機関が群馬県高崎市の公立大学法人高崎経済大学に変更となったことを契機として、高崎市歴史的景観建造物登録制度について豊富な資料をもとに実証的研究を深める機会を得られたことから、国内研究については当初計画時を遥かに上回る成果を生んだ。当初予定していた比較法的手法とはやや異なる手法からの検討が進められたものの、予定していた研究の深度は、遜色なく得られたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、研究期間の最終年度に本来計画していた研究を可能な限り予定通りに進めた上で、成果物の公表につなげる予定である。より具体的には、2021年度において、予定を上回り研究が進んだ部分について引き続き整理と分析を行い、また、研究の全体的成果について国内外の研究会やシンポジウムにて報告をすることで社会に還元しつつ批判的検討を加え、年度後半には単著の執筆に集中する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外の移動制限や研究機関の閉鎖により、当初予定していた移動を伴う研究を遂行することが不可能であったため。次年度にはこれらを計画通りに遂行する予定である。
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