研究実績の概要 |
最終年度にあたる本年度は、(1) 前年度までの研究を継続しつつ全容を整え (2) 国際的な発信を行い (3) 将来的な研究の基盤を構築することに注力した。前年度より、財産権と「知的」財産権との関係について、一つの物体のうえに二つの異なる財産権の相克が認められるとき、また、財産権と人格権の相克が認められるとき、この両者がいかにして調整され得るか、その調整原理について明らかにすることを課題としてきたところ、今年度は主として比較法的手法からこの課題の検討に取り組み、これまでの成果と照らし合わせたうえで、その全体を整理する作業を行った。この分析検討および整理の作業を通じ、建築・都市景観における「私」と「公」の概念、あるいは domaine public としての建築・都市景観という概念の、多様性また多義性を再認識したことから、同様の問題関心を有するフランス及びイギリスを拠点とする研究者 G. Besson, Y. Hashimoto, M. Pasky との国際共同研究を始め、共著により La judiciarisation progressive du droit japonais et les remnances du systeme IE としてまとめ上げた(本年度 Ebisu: Etudes Japonaises 第60号に掲載予定)。また、Universite Catholique de Lille 及び Harvard Law School において開催された国際学会にて報告を行い、さらなる知見を得るとともに、今後の研究への見通しをつけることが出来た。(本システムの仕様により、フランス語のアクサンは省略されている。)
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