本研究では320列ADCTを用いて有病高齢者の口腔機能評価法を検討した.はじめに健常人12名に対し口腔機能評価法を検討した.健常者において嚥下時の舌運動には様々なパターンを認めたが,舌口蓋閉鎖の位置の変化,舌運動の左右差,嚥下反射の遅延などは認めなかった.有病高齢者では脳卒中患者16名の評価を実施,病巣部位に分け検討した.脳卒中患者症例では食塊の保持時点から舌形態の左右差を認めた.テント上群とテント下群においても嚥下時舌運動動態にも差を認めた.320列ADCTを用いることで有病高齢者の口腔器官の運動を可視化することができるため,有病高齢者に対して有用な口腔機能評価法となるであろう.
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