本研究は (1) 模擬歳馬人裁判・評議データの収集(1-a)と分析(1-b)を並行させながら、(2)小集団評議実験と(3)模擬裁判員裁判実験の比較を目的としていた。しかしながら、目的(2)(3)は、裁判官役の妥当性を実験的に再現することが困難であったため計画を中止した。結果、(1)に関しては評議発話データを分析する手法について大幅な進展が得られた。分析手法の精緻化が図られ、評議内の構成員の関心概念と立場間の構造と、その時間的変化を捉える分析手法を開発した。また当初の研究計画の代わりに、市民の量刑判断への裁判官の影響力を推定する実験を行い、評議内の量刑相場提示の影響を明らかにした。
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