本態性振戦の新規治療法を探索する目的で、自然発症性の本態性振戦モデルTremorラットを用いて、対症療法のβ遮断薬propranololの作用機序を解析した。Propranololは振戦発現の原因部位である下オリーブ核の神経興奮を抑制し、その作用は脳内β2受容体を介した反応であった。また、Tremorラットおよびaspartoacylase遺伝子欠損ラットは、いずれも下オリーブ核における5-HT代謝回転が上昇していた。さらに、aspartoacylase遺伝子の欠損は本態性振戦の発現感受性を亢進させた。本研究結果より、これらターゲットを介した本態性振戦の新規治療法が有用であることが考えられる。
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