本課題では,癌悪液質に伴う筋萎縮に対する低強度全身運動が筋タンパク質合成系経路に与える効果について検証した.癌悪液質により,血中TNF-αの上昇,ヒラメ筋中のHIF-1α及びリン酸化AMPKの発現が増加し,リン酸化p70S6Kの発現は低下した.一方で,低強度全身運動を実施した群では、癌悪液質によるHIF-1α及びリン酸化AMPK発現増加とリン酸化p70S6K発現低下の抑制がみられた.低強度運動による筋内の血流改善効果が,骨格筋内の低酸素状態を改善し,それに伴うAMPKの活性化を抑制したと考えられる.その結果、筋タンパク質合成の低下が抑制され,癌悪液質に伴う筋萎縮の予防効果を示したものと考える.
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