研究課題/領域番号 |
16K21565
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
宇内 一文 常葉大学, 健康プロデュース学部, 講師 (60546266)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハンセン病 / らい予防法 / 「隔離 / 教育 / 差別 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国立ハンセン病療養所に隔離収容されていた患者たちに学校は何をなしえたかについて、「隔離」と教育とのかかわりの考察を通して明らかにし、ハンセン病問題を教育(学)の視点で明らかにするためのパースペクティブを提出することにある。そのことを通して、「隔離」と教育の差別構造の解明に向けての視点を明らかにしていく。 上記の研究目的達成のために、平成28年度は次の調査研究を行った。 (1)療養所及び関係団体所蔵史資料の収集と整理、検討:国立ハンセン病療養所付置の資料館及び書庫、図書室において所蔵されている史資料の収集と整理、検討を行った。 (2)関連史資料の収集:図書館・資料館や公文書館、古書店などを利用して、ハンセン病にかかわる子どもの「隔離」と教育の処遇に関する法制を検討するために、療養所及び関係団体が保有する史資料群だけでなく、国策として「隔離」(と教育)を展開した国(厚生省、文部省など)、「隔離」の実務を担当した都道府県・教育委員会の所蔵する行政文書をはじめ、同時代の学術論文・評論・ニュース記事など多様な情報を収集した。 (3)聞き取り調査:療養所に隔離収容され、療養所付置学校(学園)で学んだ元患者数人から聞き取り調査を行った。世代の違いによる「隔離」と教育のかかわりの差異や共通性などを探求するため、1950年代半ば・60年代半ば・70年代半ばにそれぞれ学校教育を受けていた元患者への聞き取りを行った。 (4)研究成果の発表:平成28年度日本人権教育研究学会研究大会において自由研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題申請時から所属先が変わり(岡山県の短大から静岡県の大学へ転出)、瀬戸内3園(長島愛生園・邑久光明園・大島青松園)の本格的な現地調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に引き続き、1)療養所及び関係団体所蔵史資料の収集と整理、2)関連史資料の収集、3)聞き取り調査、4)研究成果の発表を継続して進める。研究が「やや遅れている」ので、遅れを取り戻すべく、精力的に研究活動を行うとともに、瀬戸内3園の本格的な現地調査を実施できるよう準備を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費申請時と所属先が変更したこともあり、物品費と旅費の支出が当初計画よりも多くなってしまった。それゆえ、人件費・謝金の支出についての当初計画を見直した。その結果、残念なことに繰り越し金が発生してしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し金については、次年度に研究に必要な物品を購入するための費用に充てる計画である。
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