蛋白質は生体を構成する最も重要な成分の一つであるため、熱安定性向上を意図した蛋白質改変は、基礎研究・応用研究両方にとって有用である。本研究では、大腸菌由来CutA1蛋白質に、荷電性残基を変異導入することによって変性温度150℃の超安定蛋白質を再現しようと試みた。その際、水溶液中における荷電性残基の挙動を検証するために、分子動力学(MD:Molecular Dynamics)シミュレーションを用いた。その結果、蛋白質の熱安定性における水溶液中での荷電性残基間の静電相互作用の重要性が示唆され、150℃に迫る変性温度を持つ蛋白質を再現することが出来た。
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