本研究は、認知資源の神経基盤と配分機構の解明を試みた。本研究では、前頭連合野外側部の尾側(46野、9/46野)と吻側(10野)から記録した、二重課題中の神経活動を解析した。その結果、46野、9/46野のニューロン活動は、課題遂行に必要な情報を強く表象していた。一方、10野では、殆どのニューロンが、課題の遂行に重要な情報を表象するのではなく、試行終了直後に自分が行った行動とその結果の関係性を表象していた。これらの結果から、一部の解剖学的先行研究で示唆されていたように、サルの10野は、複雑な認知情報処理を担う最高次の脳領域とされるヒト10野とは相同の領域ではないことが示唆された。
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