ほとんどの場合に軽い風邪や下痢などの症状で済むウイルス感染症でも、個人の遺伝的背景や免疫状態によっては症状が重篤化することがあります。本研究では、前述のように、稀に心臓の筋肉の炎症(心筋炎)を引き起こすパレコウイルス1型(HPeV-1)、骨格筋の炎症を伴う流行性筋痛症を引き起こすHPeV-3について、両者の筋炎誘発部位の違いはどのようなウイルスの性質の差異によってもたらされているのかを、ヒトiPS細胞より分化させた筋細胞を用いて調べ、HPeV-1がより速く心筋細胞を傷害する性質を有することが明らかになりました。本研究の知見は、パレコウイルス心筋炎の発症メカニズムの解明の一助となるものです。
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